やわらかいぬいぐるみのほうへ飛んで逃げていき

スキンシップの大切。興味深い実験があります。あるサルの子供の話ですが、生まれてすぐに本当のお母さんザルから、引き離してしまい、別の代理母による子育てを試験的に行いました。代理母といっても、人形です。二種類の代理母を用意しました。

一匹には、胸に哺乳瓶がついていて、お乳をいつでも飲めるようにしてあります。しかし、これは針金製です。もう一匹は、やわらかいぬいぐるみなのですが、哺乳瓶はありません。子ザルはいったい、どんな行動をとったのでしょうか。お腹がすいたときには、子ザルは思ったとおり、針金製のお母さんの哺乳瓶に吸い付きに行きました。しかし、お腹が満たされると、ぬいぐるみの柔らかいお母さんのところで過ごすことが多かったのです。

それも、しっかりと抱きついていたとのことです。楽しく遊んでいる際に、恐いもので脅かされたというときにも、やわらかいぬいぐるみのほうへ飛んで逃げていき、抱きついて安心感を得ようとしました。このことから、赤ちゃんは、おっぱいを飲むためだけにお母さんを求めるのでもなく、おむつを替えて欲しいだけのために泣くのでもないということを示されたと思います。このサルの実験からもわかるように、赤ちゃんは不安や恐怖を慰めてもらいたい、とだけ、願っているわけです。しかし、働きすぎで疲れているお母さん、自分の人生がうまくいっていないと被害者意識でいるお母さんなどは、赤ちゃんがちょっと泣くだけで、自分が責められているという風に被害者的に感じるものです。しかしそうではありません。赤ちゃんはただ、慰めてもらいたい、それだけなのです。そこへ付随して、おっぱい、おむつ、睡眠という物理的なものが加わっているだけです。というより、言葉もわからない赤ちゃんをどう慰めてよいか、わからないではありませんか。だから、おっぱいをあげる、おむつを替える、眠らせてあげる、という介入物が必要なのです。

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